開講講演

経済と環境の歴史的展開と現代~グリーンキャピタリズム構築のために

細田 衛士慶應義塾大学 経済学部教授

自然環境と経済は相互に深く関連しており、ほとんどの環境問題の根源には人間の経済活動があるといってよい。近現代、経済活動と自然環境の保全をいかにバランスさせるかが問われている。グリーンな経済を作るためには経済学が威力を発揮するが20世紀型の資本主義から、新しい資本主義(知識資本主義)への転換が進む中、グリーンキャピタリズムへの進化の必要性が顕在化してきている。グリーンキャピタリズムは先進的企業にとてっては大きなビジネスチャンスであり、日本は循環型社会の形成において世界に先駆けるジャパンモデルを作ることが可能である。しかし多くの企業はそれに気付いていない。ポイントは技術を環境保全型にすること、その技術をビジネス化すること。そして新たなる付加価値を実現するシステムを作ることである。

細田衛士

中国との環境協力

染野 憲冶東京財団研究員

近年、中国政府は環境保護を重視し、特に汚染の激甚な地域での対策を強化。全国ベースでは改善の見られる指標もあるが、個々の都市の大気質、河川の水質等は、依然として高い汚染状況にある。森林・草地の砂漠化・荒漠化も深刻であり、全国の砂漠化・荒漠化面積は国土の約3割。資源・エネルギー消費の増加・非効率な利用、主要エネルギーを石炭に頼っていることから、大気汚染物質である二酸化硫黄(SO2)の排出量、温室効果ガスである二酸化炭素(CO2)の排出量とも世界最大となっている。
中国の緑色国民経済計算研究の試算によれば、2004年の環境汚染による経済損失はGDPの3%(約7.7兆円)にのぼり、環境汚染防止に必要な投資額は、初期投資でGDPの7%(約16.2兆円)、運営投資としてGDPの2%(約4.3兆円)が必要としているにもかかわらず、実際の投資額はGDPの1%(約2.9兆円)にとどまっている。本推計は技術的制約により環境汚染の一部のみを対象としており実際の環境汚染被害はより深刻だと予想される。
現在の中国の環境実態を現地での写真を交えながら詳細に解説し、日中間の環境の関わりについて考察を行った。

染野憲冶

※セッション最後に「グリーン化を進めるジャパンモデルの提案」をテーマに3グループに分かれビジネスモデルとシステム設計を立案、プレゼンテーションするワークショップを行った。